第1回|アメリカの小学校に学ぶ、発達段階に合わせたお金の教育
日本との違いから見える、海外の金融教育の視点
「海外の金融教育って、実際にはどんなことをしているの?」
そう感じている方も、いらっしゃるかもしれません。
私は、娘がアメリカの現地校に通っていることもあり、教室の中でお金がどのように扱われ、それが家庭での関わりとどうつながっているのかを、日常の中で見てきました。
この記事では、アメリカの小学校で行われている金融教育の実際を、日本の教育と比べながらお伝えします。
あわせて、「なぜそのような形が選ばれているのか」という教育の背景にも、少し触れていきます。
日本とアメリカ、決定的な3つの違い
まず、両国の金融教育を分ける根本的な違いを整理します。
違い1:お金の話への向き合い方
日本
お金の話は、家庭内でも控えめになりがち。最近は少しずつ変わってきましたが、それでも社会全体ではまだまだ「子どもにお金の話をするのは早い」「下品なのでは」という空気があります。
アメリカ
一方でアメリカでは、お金の“仕組みや考え方”について話すこと自体への心理的ハードルが低い傾向があります。
※ここで重要な補足があります。
お金の話と国際的マナーについて
アメリカでも、年収や資産額といった具体的な数字は、個人的なものとして扱われ、相手に尋ねることは、基本的にマナー違反とされます。
これは日本だけでなく、欧米を含む多くの国に共通する国際的な社会マナーです。
「いくら稼いでいるの?」「どのくらいお金を持ってるの?」という質問を、誰にでも気軽にする文化があるわけではありません。
その一方で、アメリカでは、お金をどう使い、どう考え、どんな選択をしてきたのかといった話は、比較的オープンに共有されます。
アメリカの金融教育が“オープン”と表現される理由は、金額そのものではなく、「お金はどこから来て、どう使い、どう管理するのか」といった考え方を、教育の中で自然に扱う点にあります。
CreateBrightが大切にしているのも、「どう稼ぐか」「どう増やすか」ではなく、「お金とどう向き合い、どう選択するか」という、国際的に共有されている教育の本質の部分です。
違い2:いつから始めるか
日本
金融教育は主に中学・高校から。小学校では体系的に扱われることは多くありません。
アメリカ
幼稚園(Kindergarten)から。5歳前後で、お金の基本概念に触れ始めます。
違い3:何を重視するか
日本
「節約」「貯金」が中心。お金は“減らさないもの”として教えられることが多い。
アメリカ
「稼ぐ・使う・管理する・分かち合う(経済参加)」のバランス。お金は選択と行動の結果として扱われる存在です。
アメリカの小学校で実際に行われていること
学年ごとに、代表的な内容をご紹介します。
幼稚園〜1年生(5〜6歳):お金の基本
学ぶこと
- コインの種類と価値
- お金で物が買えるという概念
- 「必要」と「欲しい」の違い
授業例
- 実際のコインを使った数え方
- お店屋さんごっこ
- Needs vs. Wants の分類
2〜3年生(7〜8歳):稼ぐ・貯める
学ぶこと
- お金は働くことで得られる
- 目標を持って貯めるという考え方
- 我慢と選択(Delayed Gratification)
授業例
- 職業と報酬の関係
- 貯金目標を立てる体験
- 「今使う」か「後で使う」かの選択
4〜5年生(9〜10歳):管理する・分かち合う
学ぶこと
- 銀行の役割
- 利子の考え方
- 予算を立てる力
- 社会貢献(Giving)
授業例
- 模擬銀行での預金体験
- 予算配分のシミュレーション
- クラスで寄付先を話し合う活動

日本にはない、金融教育の特徴
1. 体験から学ぶ
知識よりも、行動と選択。
2. 失敗を責めない
うまくいかなかった理由を、次の学びにつなげる。
3. お金と幸せの関係を考える
お金は目的ではなく、人生を支える道具。
4. 家庭との連動
学校で学び、家庭で実践することが前提。
日本でよく見かける金融教育の語られ方
日本では、子どもの金融教育というと、「お金で成功すること」をゴールに据えた語られ方を、目にすることもあります。
それは、お金の仕組みを分かりやすく伝えたい、将来に備えて力をつけてほしい、という思いから生まれているものかもしれません。
一方で、アメリカの金融教育では、勝ち負けや結果そのものよりも、「どう考え、どう選ぶか」というプロセスが、繰り返し大切にされています。
意外に思われるかもしれません。
確かに、アメリカは競争の激しい社会です。
成果や結果が評価され、競争を避けて通れない場面も少なくありません。
だからこそ、教育の中では、
勝ち負けそのものを教えるのではなく、競争の中でも、自分の判断軸を失わないことが重視されます。
どれだけ持つか、誰より上か、ではなく、
何を大切にして選ぶのか。その選択に、自分で責任を持てるか。
そうした力を育てることが、資本主義社会を生きるための現実的な準備として、金融教育の土台になっています。
日本の家庭に取り入れられること
今回は、具体例としてアメリカの小学校で行われている金融教育の様子をご紹介しました。ただし、それが金融教育の「正解」や「完成形」というわけではありません。
大切なのは、アメリカに限らず、海外の金融教育で共通して大切にされている考え方を、日本の家庭の中で、無理なく活かすことです。
CreateBrightの金融教育プログラム
CreateBrightでは、これまでアメリカの現地校や家庭で実際に見てきたこと、22年にわたる海外生活の中で感じてきたこと、そして西洋の金融教育を長年研究してきた知見をもとに、
そうした考え方を日本の家庭で再現できる形に整理してきました。
それが、CreateBrightの FLEP7(お金の教育 × 国際教育 プログラム) です。
まとめ
アメリカの金融教育を通して見えてくるのは、お金そのものではなく、お金との向き合い方です。
- 金額ではなく、考え方を伝える
- 幼い頃から体験させる
- 失敗を学びに変える
- お金と幸せの関係を考える
- 家庭で実践する
どれも特別なことではなく、日々の暮らしの中で、少しずつ積み重なっていくものです。
アメリカの学校教育で標準となっている「発達段階に応じた学び」。これを日本の家庭環境にフィットさせ、今日から実践できるように体系化したのが、CreateBrightのSTEP3「お金の管理と仕組みづくり」です。
さらに理解を深めたい方へ 今回はアメリカの事例をご紹介しましたが、次に、日本の家庭でよくある「貯金だけでは足りない理由」についてもぜひ目を通してみてください。
>> 次に読む記事: [貯金だけでは足りない理由] 。わが子の判断力を磨く新しい視点

